夏休みの海に64人 「俺が捕まえたやつだよ!」の声が響いた一日
7月26日(日)、海の環境を学ぶ会~スノーケリング体験を西の浜(海浜の森公園近く、休暇村伊良湖付近)にて開催しました。夏休みに入って最初の日曜日、64人という大勢の皆さんに集まっていただき、そのうち50人が実際に海に入って渥美半島の水中世界を体験しました。
毎年この時期のスノーケリング体験は、子どもたちが「海の中」を初めてのぞく機会になります。今年もその瞬間に、たくさん立ち会うことができました。

猛暑を覚悟していたら、薄曇りの西風
今年も酷暑・猛暑を想定して、暑さ対策を万全にして当日を迎えました。ところが実際は薄曇りで西風もあり、真夏とは思えないほど穏やかな天候の中での活動となりました。海に入る子どもたちにとっても、浜で見守る保護者の皆さんにとっても、ありがたい一日となりました。

低学年から中学生まで、幅広い顔ぶれ
今回海に入った体験者50人の内訳は、小学1・2年生が13人、3・4年生が9人、5・6年生が9人、中学生以上が3人、子どもと一緒に海に入る大人が16人でした。このほかに、海には入らず浜から我が子の様子を見守る保護者の方もいて、全体では64人の賑やかな活動となりました。
特に目立ったのが小学校低学年の多さです。1・2年生が13人と最も多く、初めてスノーケルをくわえる子がたくさんいました。顔を水につけること自体が初めてという子も、周りの友だちが次々と浮かんでいく様子を見ながら、少しずつ勇気を出していきます。
市外からの参加者が多く集まりました
今回は市外からお越しくださった方が多かったのも特徴でした。湖西市、西尾市、蒲郡市、名古屋市など、県内外の各地から足を運んでいただきました。また、大阪から夏休みの旅行で渥美半島に来られたというご家族もいらっしゃいました。
旅行の貴重な一日を、渥美半島の海で過ごすことを選んでいただけたのは本当にうれしいことです。観光地としての海を眺めるだけでなく、実際にその海に入り、そこに暮らす生き物たちと出会う。旅行先での「海水浴」とは少し違うこの体験が、渥美半島の海の記憶として残ってくれたらと思います。遠方からお越しいただき、ありがとうございました。

当日の日程とスノーケリングの基本
8:30から受付を開始し、9:00から9:20まで準備運動と説明の時間をとりました。スノーケリングの初歩を学ぶ会ということで、全員がライフジャケットを着用し、海面に浮かんだ状態で行うことをあらためて確認しました。
無理に潜るのではなく、まず「浮いたまま呼吸できる」ことを覚えてもらう。これが亀の子隊のスノーケリング体験の基本です。9:30から活動を開始し、11:30で午前の部を一旦終了しました。午後も参加する方にはお昼を各自用意していただき、14:00頃まで海での時間を楽しんでもらいました。

グループに分かれて、一人ひとりのペースで
体験はグループごとに分かれて行いました。1・2年生の子たちは、最初はスノーケルでの息継ぎに戸惑っていましたが、慣れてくるにしたがって少しずつ長く浮かんでいられるようになりました。
そして浮けるようになると、そこから世界が変わります。海面から海の中を覗き込み、自分の下に広がる景色をじっと見つめる。その姿を見ていると、この日この子の中で何かが確かに動いたのだと感じます。


深いところでは、大きなボラが体の下を
海はアオサが生えていたり、プランクトンの発生のためか少し緑がかった色をしていて、透明度は今一歩という状態でした。それでも、大人や高学年が体験した深いところでは、うれしい出会いがありました。自分の体の下を、大きなボラが悠々と泳いでいくのを見ることができたのです。
海面に浮かんだまま、そのすぐ下を大きな魚が通り過ぎていく。水族館のガラス越しではなく、同じ水の中でその姿を見た驚きと喜びは、体験した人にしか分からないものだと思います。参加者の皆さんも興奮した様子で話してくれました。


浅いところでは「よく見る」ことから
透明度が高くなかった分、浅いところの子どもたちは水面すれすれまで顔を近づけ、目の前に現れる一匹一匹をじっくり追いかけていました。近づいて、よく見て、初めて気づく。海の中は「よく見る」ほど豊かになっていくということを、体で知ってもらえた時間だったと思います。


見つかった海の生き物たち
透明度が今一歩という条件でしたが、それでも参加者の皆さんはたくさんの海の生き物を見つけてくれました。
魚類
魚類では、ミナミハコフグ、ヒメハゼ、ゴンズイが見つかりました。ヒメハゼは砂地にぴたりと寄り添っていて、目が慣れていないとなかなか気づけない魚です。ゴンズイは背びれと胸びれに毒のあるトゲを持っているため、見つけたときには触らないよう声をかけました。海の生き物には「見て楽しむもの」と「気をつけるもの」があることも、実物を前にすると自然に伝わります。
軟体動物・貝類
軟体動物では、アオリイカ、クロコソデウミウシ、そして貝類のスガイとアサリが見つかりました。ウミウシは色や形が独特で、初めて見る子どもたちには特に人気があります。アサリは渥美半島を代表する貝で、普段は食卓で目にするものが、こうして砂の中で生きている姿を見るのは新鮮な体験だったのではないでしょうか。
甲殻類
甲殻類では、エビジャコとユビナガホンヤドカリが見つかりました。ヤドカリは動きが分かりやすく、貝殻から足が出てくる様子を子どもたちがじっと観察していました。

あちこちで上がった歓声
海のあちこちから、子どもたちの声が上がりました。
「楽しい!」
「俺が捕まえたやつだよ!」
自分で見つけた生き物を高く掲げて、周りの子やスタッフに見せて回る姿。誰かに認めてもらえたときの誇らしい表情は、毎回この活動で見られる、いちばん良い場面です。




「パパが大きいカニ捕まえた!」
お父さんの大物に、子どもが大喜びするという場面もありました。普段は子どもを見守る側の保護者が、この日ばかりは本気で生き物探しに夢中になる。親子で同じものに熱中できる時間は、そう多くありません。
「気持ちい~」
海に浮かんでいるときの、ただそれだけの一言。けれど、海を「気持ちいい場所」として体で覚えることこそが、この会の出発点だと思っています。そして活動の終わりには、「来月も来るから」と言ってくれた子もいました。この一言が、私たちにとって何よりの励みになります。


支えてくださった皆さんへ
今回も講師として、いつもお世話になっているBlueDropの松野さんにご指導いただきました。
ボランティアで協力してくださった学校の先生方
そして特に感謝をお伝えしたいのが、スタッフとしてボランティアで協力してくださった学校の先生方です。体験者50人、それも低学年の子どもたちが多い中で、活動を終えられたのは、先生方のおかげにほかなりません。
一人ひとりの動きに常に目を配り、寒がっている子や疲れが出ている子には早めに声をかけ、怖がっている子には無理をさせずにそばに寄り添う。それでいて、子どもの「見つけたい」「やってみたい」という気持ちはしっかり引き出してくださる。安全管理と学びの両方を同時に成立させるのは簡単なことではありませんが、それを当たり前のようにやってのけてくださいました。教育のプロの力に、本当に助けられた一日でした。心から感謝しています。
年齢の近い大学生スタッフの存在
また、大学生にも子どもたちのすぐそばで支えていただきました。年齢の近いお兄さん・お姉さんがいてくれることで、子どもたちは安心して海に入っていけます。皆さんの協力があってこそ、この規模の活動が成り立っています。ありがとうございました。

海の中を知ることから始まる「きれいな海を守る心」
西の浜は伊勢湾流域圏の最下流域に位置し、クリーンアップ活動では上流域から流れ着いた海ゴミを毎月拾い続けています。ペットボトル、プラスチックの破片、生活の中から出たさまざまなもの。それが毎月、途切れることなく流れ着きます。
けれど、その同じ海に顔をつけてみると、そこには驚くほど多くの海の生き物が暮らしています。ゴミを拾いながら「なんとかしなければ」と思う気持ちと、海に浮かびながら「気持ちいい」「もっと見たい」と感じる気持ち。この両方があってこそ、「きれいな海を守る心」は本物になっていくのだと思います。
今日、海の中で生き物を追いかけた子どもたちが、浜でゴミを拾う側に立ってくれたら。その循環こそが、亀の子隊が続けてきた活動の意味だと考えています。
活動実績
- 参加者数:64人(うち体験者50人)
- 体験者の内訳:小学1・2年生13人/3・4年生9人/5・6年生9人/中学生以上3人/大人16人
- 活動時間:8:30受付~11:30(午後の部は14:00頃まで)
- 活動場所:愛知県田原市 西の浜(海浜の森公園近く・休暇村伊良湖付近)
- 講師:松野さん(BlueDrop)
- 観察した海の生き物:9種類(ミナミハコフグ、ヒメハゼ、ゴンズイ、アオリイカ、クロコソデウミウシ、エビジャコ、ユビナガホンヤドカリ、スガイ、アサリ)
