【愛知県田原市】2026年度第1回 海の環境を学ぶ会~春の磯の観察会レポート|親子38名参加で30種の海の生き物を発見
ゴールデンウィークに38名が集まった春の磯観察会
5月2日(土)、2026年度第1回目の海の環境を学ぶ会~磯の観察会を、宇津江港公園奥の磯にて開催しました。ゴールデンウィーク中の開催とあって、子ども19名・大人19名の計38名が集まってくださいました。晴天に恵まれましたが、少し波のある磯での活動となりました。観察会の前にはクリーンアップ活動も実施し、参加者の皆さんがてきぱきとゴミを拾ってくださいました。その後は講師・BlueDrop松野さん https://www.instagram.com/sea.some/の解説とともに30種類もの海の生き物と出会う、充実した2時間となりました。

まずはクリーンアップ活動から
10時30分、観察会の前に簡単なゴミ拾いからスタートしました。海の生き物観察への気持ちが高まっている中でも、参加者の皆さんはてきぱきと協力し合い、磯の隅々まで丁寧にゴミを拾ってくださいました。その手際のよさと熱心さには、毎回ながら頭が下がります。漂流物のペットボトルを中心に回収し、短時間ながらも磯をきれいにしてから観察会に臨むことができました。海の環境を楽しむ前に、まず海を守る気持ちを行動で示す——亀の子隊の活動スタイルが自然と根づいていることを感じる場面でした。

磯へ飛び出す子どもたち
10時45分から本格的な観察会がスタートしました。活動前に岩場での安全な歩き方と海の生き物の探し方を説明すると、参加者はいっせいに磯へ広がっていきました。今回、目を引いたのは「お父さんのほうが夢中になっている」ご家族の多さでした。子どもと並んで動石をめくり、網を手に駆け回るお父さんたちの姿に、思わず笑顔になる場面が続きました。磯の生き物の魅力は、大人も子どもも関係なく引き込んでいくようです。未就学児の子どもたちも、保護者の手を借りながら「よいしょ、よいしょ」と岩場を一歩一歩踏みしめて進んでいました。磯は子どもたちにとって、自然の遊び場であり、足腰を育てる場でもあります。





自然が生んだ友情
観察が進む中で、学校の違う子どもたち同士が、いつの間にか一緒に生き物を追いかけている場面がありました。「網お願い!俺、石どけるから」と声を掛け合い、自然と役割分担が生まれていました。名前も知らない同士でも、生き物への興味が共通言語になる——磯観察会ならではの光景です。子どもたちがこうして磯という同じフィールドで笑い合い、協力し合う時間は、自然体験の枠を超えた大切な社会体験でもあります。亀の子隊の観察会が、多くの親子に繰り返し選んでいただける理由の一つも、こうした場の豊かさにあるのかもしれません。


「もう私、触れるよ」——一人の女の子の変化
今回の活動で特に印象的だったのは、一人の女の子の変化でした。観察会のはじめ、イソギンチャクを前にしてなかなか触れずにいた彼女でしたが、勇気を出して指先を伸ばすと、手に引っ付いてくる不思議な感触に驚きながらも笑顔になりました。それをきっかけに気持ちがほぐれた彼女は、活動が終わるころにはカニも魚も素手でつかまえられるようになりました。「もう私、触れるよ」と得意げに話してくれたその表情は、この観察会がただの生き物探しではなく、子どもたちの自信と勇気を育てる場でもあることを改めて感じさせてくれました。ゴールデンウィーク明けに、学校でたくさん話してくれることでしょう。

今回見つかった30種の海の生き物
今回の観察会では、30種類の海の生き物を確認することができました。魚類では、ダイナンギンポ(成魚・未成魚)、ナベカ、ミミズハゼ、タケノコメバルの未成魚、アゴハゼが見つかりました。甲殻類では、イシガニ、イソガニ、ヒライソガニ、オウギガニなどのカニ類に加え、ケアシホンヤドカリ、ホンヤドカリ、ユビナガホンヤドカリのヤドカリ3種、さらにスジエビ、ヨコエビ、ワレカラ、フナムシも観察できました。棘皮動物では、イトマキヒトデ、ヌノメノイトマキヒトデ、チビヌノメノイトマキヒトデ、ウデナガクモヒトデの4種と、クロナマコ・アカナマコ・アオナマコの3種のナマコが見つかりました。貝類では、イシダタミガイ、スガイ、バテイラ、アラレタマキビガイ、アサリ、ケハダヒザラガイが観察され、ゴカイの仲間も確認されました。


BlueDrop松野さんによる海の生き物解説
ナマコの見分け方と海のルール
12時35分からはまとめの会。講師のBlueDrop松野さんが、参加者の見つけた海の生き物を次々と紹介しながら、その不思議な生態を丁寧に解説してくださいました。まず盛り上がったのはナマコの見分け方です。「ひっくり返してみてください」という松野さんの一言に、子どもたちは目を輝かせました。クロナマコはひっくり返しても真っ黒、アカナマコは鮮やかな赤、アオナマコは少し茶色っぽいお腹が特徴です。なかでもアカナマコは漢方としての価値が高く、最も高級とされるとのことでした。また、ナマコは冷たい水が大好きで、卵を産み終えたこれからの季節は夏眠に入り、体もだんだん小さくなっていくそうです。続いて松野さんから大切なルールの話がありました。ナマコは全国的に密漁が問題になっており、多くの場所で漁業権が設定されています。「見つけても持ち帰らず、観察したら元いた場所に優しく返す」ことが海を楽しむ鉄則です。ゴカイの仲間なども漁師さんの大切な資源として守られているため、同じように丁寧に扱う必要があることを教えていただきました。


ヒトデ・ヤドカリ・貝の豆知識
ヒトデのコーナーでは3種の違いが紹介されました。イトマキヒトデは昔の糸巻きに形が似ていることからその名がつき、ヌノメノイトマキヒトデは表面の模様が布の目のように見えるのが特徴、チビヌノメノイトマキヒトデはそのかわいらしい小型版です。「ヒトデ」とひとくくりにしがちですが、よく見ると形も模様もまったく違うことに参加者の皆さんも興味津々でした。ヤドカリについては、足の色と模様が見分けのポイントです。ケアシホンヤドカリは足に毛が生えており、ユビナガホンヤドカリは黒と白の縞模様があるのが目印。子どもたちがたくさん見つけてくれたヤドカリも、よく見るとそれぞれ違う顔をしていました。貝のコーナーでは、アラレタマキビガイの意外な一面が紹介されました。波打ち際の貝のように見えますが、実は水が苦手で、波しぶきがかかる程度の「ギリギリ濡れない場所」に集まって暮らしているそうです。岩場に一列に並ぶその様子は、まさに海の境界線。「えー!」という声が子どもたちから上がりました。

「海のおにぎり」とダイダイイソカイメンの正体
今回最大の盛り上がりを見せたのが、参加者が捕まえた大きなダイナンギンポです。ヌルヌルとした体を持つ、岩の隙間に潜む魚で、この時期は卵を守る習性があります。その卵が真っ白で三角形に見えることから、ダイバーの間では「海のおにぎり」と呼ばれているそうです。「おにぎり!?」と子どもたちから歓声が上がりました。また、岩についているオレンジ色のスポンジのような物体を不思議そうに見ていた参加者も多かったのですが、これはダイダイイソカイメンという立派な生き物です。ピンクや黒など色のバリエーションも豊富で、海の中にはまだまだカラフルな仲間が隠れているそうです。解説の最後に松野さんから、「今日見た生き物の名前をひとつでも覚えて帰ってください」という言葉がありました。名前を知ることが、海の生き物への関心と、海を守る気持ちへの第一歩になります。







活動実績
- 参加者数:38名(大人19名・子ども19名)
- 確認した海の生き物:30種類
- 活動時間:約2時間
- 活動場所:愛知県田原市 宇津江港公園奥の磯
- 講師:松野さん(BlueDrop)
